ワクチンの季節
2025.11.16
11月になりインフルエンザワクチンを接種される方が増えてきました。
成人特に高齢者が対象となるワクチンにはいろいろあり、皆さんもどのワクチンを打ってもらうのがいいのか、迷うことがあると思います。
当院の考え方をご紹介します。ワクチン接種の参考になればと思います。
- インフルエンザワクチン
自治体やお勤め先から毎年お知らせがあると思います。必ず打ちましょう。
現在広く出回っているワクチンはワクチン1mlあたり有効成分が30μgものが主流ですが、新しくできたエフルエルダという名前のワクチンは有効成分が60μgと2倍量で、特に高齢者の感染予防に期待されています。(残念ながら、今シーズンはエフルエルダは供給が難しく販売延期になりました。)フルミストという経鼻ワクチンも使われていますが、対象年齢は2歳以上19歳未満となります。当院では接種できません。
2.肺炎球菌ワクチン
現在高齢者の定期接種に使用されているのは、ニューモバックスです。このワクチンは莢膜多糖体ワクチンという型で、23種類の肺炎球菌血清型ワクチンです。簡単に言うと23種類の肺炎球菌に効果がありますが、侵襲性肺炎球菌感染症の原因となる血清型については56.6%のカバー率です。
現在定期接種では使用できませんが、結合型ワクチンという型のワクチンもあります。
血清型が15種類のバクニュバンス、20種類のプレベナー20、21種類のキャップバックスが使えます。侵襲性肺炎球菌感染症原因血清型のカバー率は
バクニュバンスが40%、プレベナー20が 62.6 %、キャップバックスが80.3%となっています。(厚生労働省の研究データ、カナダからの2025年論文を参考に)
また結合型ワクチンには免疫記憶を働かせる効力があります。つまり一度ワクチンを打つと肺炎球菌に対する免疫をその人の体に覚え込ませることができるため、ニューモバックスより長い期間効果があると言われています。先に結合型ワクチンを打ち、その1-2年後にニューモバックスを打つと肺炎球菌に対する免疫がより長く続くようです。
3.帯状疱疹ワクチン
生ワクチンの水痘ワクチンと不活化ワクチンのシングリックスがあります。どちらも定期接種が可能になりました。水痘ワクチンの方が歴史があります。水痘ワクチンは1回の接種、シングリックスは2ヶ月あけて2回の接種です。
効果はおおよそですが、水痘ワクチンは5年間の有効期間で5年後の帯状疱疹発症予防効果は5割程度、シングリックスは9年目のデータで予防効果が90%以上になるという報告があります。接種にかかる料金がかなり違いますのでご相談ください。
4.RSウイルスワクチン
RSウイルスは主に小児の呼吸器感染症の原因になりますが、高齢者にも呼吸器感染の原因になり、呼吸不全をひき起こすことがあります。任意接種になりますが、今後は接種率が上がると思われます。
5.新型コロナワクチン
2021年から新型コロナウイルスに対するワクチン接種が始まり、現在が8回目の接種機会になります。ワクチンもmRNAワクチンと組み換えたんぱくワクチンの2種類があり、定期接種として2025年10月から65歳以上の高齢者への接種が始まりました。感染後の重症化予防に効果があると言われています。当院でも接種ができます。
以上になります。ご自分にはどのワクチンが必要か迷う時は、当院にご相談ください。
